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謎の塔から更に崖沿いを歩いてゆくと、道ばたに突然、大量の骨が現れた。 もしかしたらチベット族の天葬(鳥葬。チベット族の伝統的な葬儀で、遺体を数十個に切り分け、神の鳥である鷲に食べさせるというもの)場に入り込んでしまったのかもしれない、と慌てるが、良く見ると動物の骨だということが分かった。 どうやら死んだ家畜は、ここに葬られるようだ。 そして更に歩いてゆき、崖の先端までたどり着いた私たちは、思わずその場に立ち尽くした。 河の向こうには対岸の村。足元には蛇行する赤いメコン河。 そして耳の中でゴォォッと音をたてる、強い、強い、風。 「今なら飛べる気がする」と誰ともなく、冗談めかして呟く。 本当に飛べる気がして、気付けば全員で両手を大きく広げていた。 「ここは風の谷だね。風の谷ってことで認定していいすか」と一人が笑うと、「認定!」と全員が一斉に手を上げた。 いつまでもそこにいたい気がしたが、徐々に日暮れが近づき、寒くなってくる。 後ろ髪引かれながら、私たちは風の谷を後にした。 |